固定IP VPNとは、VPN接続を利用して、インターネット上の接続先から見えるグローバルIPアドレスを一定に保つ仕組みです。自宅や出張先、複数のオフィスなど異なる場所から接続しても、VPNサーバーを経由することで、SaaSや取引先のシステムには同じIPアドレスからアクセスできます。
ただし、「固定IPを使えるVPNサービス」と、通信事業者の閉域網を利用する「IP-VPN」、オフィス回線に固定IPを付ける「プロバイダ型固定IP」は別の仕組みです。このページでは、固定IP VPNの仕組みと各方式の違い、自社に合う取得方法の考え方を解説します。
固定IP VPNは、利用者の端末と固定グローバルIPアドレスを持つVPNサーバーを接続し、そのVPNサーバーを経由してインターネットへアクセスするサービスです。
通常、自宅の光回線、モバイル回線、ホテルのWi-Fiなどを切り替えると、接続先から見えるグローバルIPアドレスも変わります。固定IP VPNを利用した場合は、通信の出口がVPNサーバーに統一されるため、利用場所や回線が変わっても、接続先には同じIPアドレスが表示されます。
たとえば、東京本社、自宅、出張先の3カ所から接続する場合でも、全員が同じVPNサーバーを経由すれば、アクセス先には同一の固定IPから接続しているように見えます。これにより、「登録済みのIPアドレスからだけログインを許可する」といったアクセス制限を利用できます。
※参照元:NTT東日本「VPN接続には固定IPアドレスが必要!仕組みやメリット・デメリットを解説」(https://business.ntt-east.co.jp/column/service/vpn/vpn_fixed_meritanddemerit.html)
固定IPとVPNは一緒に使われることが多いため、同じ言葉でも異なる仕組みを指している場合があります。検討時は、固定したIPを何に使いたいのかを整理することが重要です。
本サイトで主に扱うのはこちらの方式です。利用者がサービス提供会社のVPNサーバーへ接続し、そのサーバーに割り当てられた固定IPからインターネットへアクセスします。
主な用途は、SaaS、取引先システム、サーバー管理画面などで、許可されたIPアドレスからのアクセスだけを受け付ける「IPアドレス制限」を利用することです。
自社でインターネットVPNを構築し、本社と支社、または社外の端末と社内ネットワークを接続する際に、VPNルーターなどの接続先を特定するため固定グローバルIPを利用する構成もあります。
この場合は、固定IPを付与するVPNサービスを契約するのではなく、プロバイダからオフィス回線用の固定IPを取得し、VPNルーターなどを設定するのが一般的です。ただし、利用するVPN機器や接続方式によっては、動的IPでも構築できる場合があります。
名前が似ていますが、固定される対象と通信経路が異なります。
| 方式 | 仕組み | 利用場所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| VPN型固定IP | 固定IPを持つVPNサーバーを経由してインターネットへ接続 | インターネット環境があれば場所を問わず利用しやすい | SaaSのIP制限、テレワーク、複数拠点の送信元統一 |
| プロバイダ型固定IP | 契約したインターネット回線の出口に固定IPを付与 | 原則として契約回線を利用する場所 | オフィス全体の固定IP化、サーバー・NAS・監視カメラの公開 |
| IP-VPN | 通信事業者が用意した閉域網で拠点間を接続 | 契約した拠点間 | 本社・支店・工場などを結ぶ企業ネットワーク |
IP-VPNはインターネットを経由しない閉域網サービスです。インターネット上のSaaSへ同じグローバルIPからアクセスすることを主目的とするVPN型固定IPとは、用途が異なります。
オフィス、自宅、外出先など、利用者のいる場所が異なっていても、同じVPNサーバーを経由することで送信元IPを統一できます。複数拠点のIPを1つずつ許可リストへ登録する手間を減らせます。
アクセス先に固定IPを登録し、それ以外のIPからのアクセスを拒否する運用が可能です。ID・パスワードや多要素認証と組み合わせることで、認証情報が流出した場合の不正アクセス対策を補強できます。
VPN型は、既存の光回線やモバイル回線とは別に契約する仕組みです。対応サービスであれば、利用中の回線やプロバイダを変更せずに固定IPを追加できます。
固定IPはアクセス元を限定するための手段であり、単独で不正アクセスを防ぐ仕組みではありません。多要素認証、端末管理、適切な権限設定、ログ確認などと組み合わせる必要があります。
VPN型固定IPには、インターネットへアクセスする際の送信元IPを固定することに特化したサービスがあります。自社サーバー、NAS、監視カメラなどへインターネット側から接続したい場合は、ポート開放や外部着信に対応しているか確認が必要です。
VPN接続では通信がVPNサーバーを経由するため、利用中の回線、VPNサーバーの混雑、接続方式などによって速度や遅延が変わります。固定IPを利用しただけで回線速度が速くなるわけではありません。
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VPN型固定IPが自社に合っている場合は、料金だけでなく、利用人数、IPアドレスの割り当て方、社内の運用体制から選びます。
必ずしも必要ではありません。リモートアクセスVPNや拠点間VPNには、動的IPでも接続できる製品・構成があります。一方、接続先を固定IPで特定する構成や、アクセス先のIP制限を利用する場合は固定IPが必要です。
VPN型固定IPでは、通常はVPNへ接続している通信だけが固定IPを経由します。VPNを切断すると、利用中の回線やプロバイダから割り当てられたIPで通信するため、業務開始時の接続確認や自動接続の設定が重要です。
サービスによって異なります。1つの固定IPを複数ライセンスで共有するサービスと、利用者ごとに個別の固定IPを割り当てるサービスがあります。同時接続数やライセンスの共有条件もあわせて確認してください。
海外から接続できるサービスもありますが、国や現地ネットワークによってVPN通信が制限される場合があります。海外利用の可否、サポート対象国、利用できる接続方式を事前に確認しましょう。
社内の状況や目的に合わせ、数ある中から適切なサービスを選ぶのは迷うものです。
ここでは、導入のしやすさやサポート体制など、企業の状況や目的別におすすめできる固定IP VPNサービスをご紹介します。